資格試験の中でも、電気系国家資格として人気・難関の「電験三種(第三種電気主任技術者)」と「エネルギー管理士」。
いずれもインフラ系の職種や設備管理のキャリアアップに直結する資格ですが、「結局どっちが難しいの?」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、出題内容・合格率・必要な勉強時間・実際に受験した感想などから、「電験三種とエネルギー管理士、どちらが難しいか?」を徹底的に比較していきます。
目次
電験三種とは?基本情報と特徴
試験概要
電験三種は、高圧もしくは特別高圧で受電しているビル、工場などの電気設備の保守・管理をする代表者(=電気主任技術者)になるために必要な資格です。
出題範囲は以下の4科目:
- 理論(電気回路・電磁気学)
- 電力(発電・送配電)
- 機械(電動機・パワエレなど)
- 法規(電気事業法・電気設備技術基準など)
合格率は毎年10%程度です。
3年間で4科目すべてを合格すると、資格取得可能です。
(科目合格制度については、公式HP等で条件をよく確認をしてください。)
電験三種のポイント
- 出題範囲が広く、電気系の高校・高専・大学の方でも勉強に苦労をします。(『機械』科目は鬼門...)
- 科目合格制度あり:一度合格した科目は3年間有効。
- 計算問題が多い一方で、公式で解ける問題も多いため、勉強は必要ですが文系だからと計算に苦労することは少ない印象です。
- 受験資格無し(誰でも受けられる)
エネルギー管理士とは?基本情報と特徴
試験概要
工場やビルなどでエネルギー使用の最適化を図るための資格。
一定規模以上のエネルギーを消費する工場等に必要人数の有資格者を設置する必要があります。
試験は「電気分野」と「熱分野」に分かれており、ここでは「電気分野」での比較を前提とします。
電気分野では以下の4科目:
- エネルギー総合管理および法規(法令・基礎問題)
- 電気設備および機器(配電・電動機)
- 電力応用(選択:電気加熱・電気化学・照明・空気調和)
- 電気の基礎(電気理論・自動制御)
合格率は毎年20〜30%程度です。
エネ管(電気分野)のポイント
- 出題範囲は比較的に狭いが、より深い理解が求められる。
- 自動制御・無効電力の計算など、難解な計算は多め。
- 1年で全科目合格が必要(科目合格制度なし)。
- 受験資格なしだが、合格後の免状申請時に実務経験が求められる。
難易度比較:合格率・勉強時間・出題傾向など
合格率の比較
試験名 | 合格率(目安) |
---|---|
電験三種 | 約10〜12% |
エネルギー管理士(電気) | 約25〜30% |
数字だけで見ると、電験三種の方が圧倒的に低いです。
しかし、注意点として「電験三種は科目合格制度がある」ため、年単位で分割して合格する人が多く、一発合格を諦めている前提の方が多いことが合格率を下げている要因の一つになっていることにも注意が必要です。

合格率だけではどちらの方が難易度が高いかの判断は難しいです。
勉強時間の比較
試験名 | 必要な学習時間(目安) |
---|---|
電験三種 | 600〜1000時間 |
エネルギー管理士(電気) | 400〜600時間 |
実際に両方勉強・受験し、合格した私の印象としては、電験三種の方が出題範囲が広く、電気系の学生も初めて勉強する内容が多いため、勉強時間がより長くなってしまうといった感じです。
エネルギー管理士の方が出題範囲が狭いため、勉強時間は電験三種より実際に少なかったです。

実際に電験三種の方が勉強も大変でした
出題内容の難しさ比較
電験三種の特徴
- 高校〜大学初年度レベルの電気回路・電磁気学の理解が前提。
- 理系(特に電気系)の方は、「理論」「電力」は比較的スムーズに勉強が進む。
- 「機械」「法規」でつまずく人が多い。
- 特に「機械」の科目は鬼門で、『直流機』『誘導機』『同期機』『変圧器』関係は、理系の方でも馴染みが薄いうえ、内容も複雑なため、挫折する人も多い。

私の友人は「機械」のみ科目合格できず、最終的に挫折してしまいました...
エネルギー管理士の特徴
- 電気の基礎ができることが前提の応用問題が出題され、問題の難易度が高い。
- 『自動制御』という一般の方が馴染みのない分野を勉強する必要あり。
- 過去問の中から同じ問題が出題されることもしばしば。

複数年過去問を解いていると、「あれ?この問題見たことあるな...」
となり、個人的には対策が比較的スムーズでした。
実際に両方受けた人の声(筆者の体験も含む)
筆者は両方の試験を受験・合格済みです。体感としての難易度を一言で表すと以下の通りです:
- 電験三種は「出題範囲の広さ」
- エネルギー管理士は「計算・理論の応用の難易度の高さ」
つまり、以下の実感です。
電験三種は、とにかく「理論」「電力」「機械」「法規」の各科目の出題範囲が広く、かつ、各科目それぞれしっかり勉強しなくては合格点まで届きません。
電気系の大学出身の私も、出題範囲の広さに苦労し、勉強に多くの時間を要しました。
しかし、時間をかけて着実に勉強をすれば、理解ができないというレベルではありません。
エネルギー管理士は、単純に問題の難易度が電験三種よりも高いです。基礎的な電気の知識に加え、深い理解が求められる応用問題が出題されます。
文系の方、電気系以外の専門の方は勉強のハードルがかなり高いと感じます。
しかし、出題範囲は電験三種より狭く、過去問による対策もしやすい印象でした。
難易度の総合評価:結局どっちが難しい?
比較項目 | 電験三種 | エネルギー管理士 |
---|---|---|
合格率 (あまり参考にならない) | ||
勉強時間 | × 多い | ○ 少なめ |
出題傾向 | × 難易度中・出題範囲広い | △ 難易度高・出題範囲狭い |
科目合格 | ○ あり | × なし |
全体難易度 | ★★★★★ | ★★★★☆ |

結論として、資格取得の難易度で言えば、やはり電験三種の方が上だと感じます。
ただし、自分のバックグラウンドや得意分野によって体感は大きく異なります。
どちらを先に取るべきか?
文系出身や現場経験者なら…
→ 電験三種から挑戦するのがオススメです。
- 『電力』などはイメージがしやすくとっかかり安い
- 科目合格を狙いながら計画的に勉強をすれば、電気系以外の方でも十分合格可能。
- エネルギー管理士の問題は初学者にはハードルが高い。
- 設備系の仕事をしている方は、特に評価されやすい。
※電気系以外の方がエネルギー管理士を目指す場合は、『熱分野』で受験することをお勧めします。
一般的に、電気分野より熱分野の方が簡単だと言われています。
理系出身や電気系の専門力を高めたいなら…
→ 電験三種からの挑戦が有利です。 ※どちらの方も電験三種からの挑戦をお勧めします。
- 電気主任技術者としての幅広い活躍が可能
- 電気保安協会・大手企業の設備管理でも高く評価される
電気系の大学卒の方で、「とりあえず何か資格を取りたい!」という方はエネルギー管理士をお勧めします。
まとめ:自分のキャリアと相談して選ぼう!
電験三種とエネルギー管理士、どちらも非常に価値のある資格です。
難易度で言えば「電験三種が上」ですが、電気のキャリアを積むうえでは電験三種への挑戦をお勧めします。
選ぶ際は、以下のポイントを整理してみましょう:
- どんな職種に就きたいか?
- 現在の知識レベルは?
- 勉強にどれだけ時間が割けるか?
そして最終的には、「どちらを取るか」ではなく「いずれ両方取る」という視点もおすすめです。
実際、電験三種 → エネ管の順にステップアップする人は非常に多く、将来のキャリアにも強い武器になります。